事業所得について詳しく解説します

事業所得を理解する – 個人事業主・フリーランスの税金

個人事業主やフリーランスとして働いている方が得る所得は「事業所得」として課税されます。この記事では、事業所得の基本から、必要経費の詳細、青色申告の特典まで、わかりやすく解説します。

1. 事業所得とは?

事業所得とは、一言でいうと「個人事業主やフリーランスが、自分のビジネスで得た利益」のことです。農業、漁業、製造業、小売業、サービス業など、独立して継続的に行われる仕事から得られる所得がこれにあたります。

業種 具体例
農業・漁業 米作り、野菜栽培、漁業など
製造業 工場での製品製造、手作り雑貨の制作など
卸売業・小売業 商品の仕入れと販売、ネットショップ運営など
サービス業 デザイナー、プログラマー、コンサルタント、美容師、飲食店経営など
注意:事業用資産の売却は「譲渡所得」
仕事で使っていた車やパソコンなどを売却して得た利益は、事業所得ではなく「譲渡所得」という別の所得になります。

2. 事業所得の金額はどう計算する?

事業所得の計算は、以下の式で求められます。

事業所得の金額 = 総収入金額 − 必要経費

青色申告をしている場合は、ここからさらに「青色申告特別控除」を差し引くことができます。

3. 総収入金額 – 何が収入になるの?

基本的には、「事業を通じて得たすべてのお金」が総収入金額になります。

項目 説明
売上 商品やサービスを提供して得た対価(最も基本的な収入)
付随収入 事業に関連して生じた収入
例:取引先への貸付金の利子、作業くずの売却代金、事業用資産の賃貸料など
その他の収入 事業用の資産が壊れて受け取った保険金や損害賠償金など

自家消費(家事消費)に注意!

販売用の商品を自分や家族のために使った場合(自家消費)、それも収入に計上しなければなりません。

例:パン屋さんが売れ残ったパンを家族で食べるケース

この場合、「仕入れたときの値段」と「販売価格の70%」のうち、どちらか高い方の金額を収入として計上します。

仮に、パンの仕入れ値が100円、販売価格が300円だった場合:
・仕入れ値:100円
・販売価格の70%:210円
210円を収入に計上します。

4. 必要経費 – 何が経費になるの?

必要経費とは、「収入を得るために直接かかった費用」のことです。これが多ければ多いほど、所得(利益)が減り、税金が安くなります。

① 売上原価

小売業や卸売業の場合、「売れた商品の仕入れ値」のことです。以下の式で計算します。

売上原価 = 期首商品棚卸高(年初の在庫) + 当年仕入高 − 期末商品棚卸高(年末の在庫)
計算例:
・年初の在庫:100万円
・今年の仕入れ:500万円
・年末の在庫:80万円

売上原価 = 100万円 + 500万円 − 80万円 = 520万円

② 減価償却費

パソコンや車、建物など、高額で長期間使う資産は、購入した年に全額を経費にするのではなく、国が定めた耐用年数にわたって、毎年少しずつ経費にしていきます。この手続きを「減価償却」といいます。

償却方法 説明
定額法 毎年、同じ金額を経費にする方法。シンプルな計算方法です。
計算式:減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率

例:200万円のパソコン(耐用年数4年、償却率0.25)
→ 毎年50万円ずつ経費にする
定率法 初めの年の経費が最も多く、年々経費が減っていく方法。早く経費にしたい場合に有利です。
計算式:減価償却費 = 未償却残高 × 定率法の償却率
ポイント:
・1998年4月1日以降に取得した「建物」
・2016年4月1日以降に取得した「建物附属設備」や「構築物」
これらは、定率法を選択できず、定額法のみとなります。

③ 少額の減価償却資産の特例

高額な資産は減価償却が必要ですが、少額なものには特例があります。

取得価額 扱い 条件
10万円未満 全額をその年の経費にできる 全員対象
20万円未満 3年間で3分の1ずつ経費にできる(一括償却資産) 全員対象
30万円未満 全額をその年の経費にできる(少額減価償却資産の特例) 青色申告者のみ
(年間合計300万円まで、従業員500人以下)
例:青色申告者が25万円のパソコンを購入した場合

通常なら4年間で減価償却しますが、「少額減価償却資産の特例」を使えば、購入した年に25万円全額を経費にできます。

④ 交際費

事業の遂行上、直接必要な交際費(接待費、お中元・お歳暮など)は、全額を必要経費にできます。

ポイント:個人事業主の交際費は、法人と異なり、金額の制限がありません。ただし、「業務の遂行上直接必要」であることが条件です。

⑤ 貸倒引当金

売掛金などが回収できなくなる(貸し倒れる)リスクに備えて、一定額を経費として計上できます。

種類 白色申告者 青色申告者
一括評価する貸倒引当金 繰入計上できない 繰入計上できる
個別評価する貸倒引当金 繰入計上できる 繰入計上できる

⑥ 家族への給与

生計を共にしている家族への給与は、原則として経費にできません。しかし、以下の制度を使えば、経費として認められます。

制度 内容
青色事業専従者給与
(青色申告者のみ)
対象:15歳以上で、年間6ヶ月を超えて事業に専ら従事している家族
経費にできる額:税務署に届け出た金額の範囲内で、支払った給与の全額
注意:退職金は経費にできません。
事業専従者控除
(白色申告者のみ)
対象:15歳以上で、年間6ヶ月を超えて事業に専ら従事している家族
経費にできる額:実際に支払った給与額に関わらず、以下のうち低い方の金額
① 配偶者:最高86万円、その他の親族:最高50万円
② 事業所得の金額 ÷(事業専従者の数 + 1)
例:青色申告者が妻に年間240万円の給与を支払った場合

事前に税務署に届け出ていれば、240万円全額を経費にできます。これにより、大幅な節税効果が得られます。

⑦ 親族との間の支払い

生計を共にしている親族に家賃や借入金利子を支払った場合の扱いは、以下のとおりです。

状況 事業主と生計が同じ 事業主と生計が別
支払った利子・家賃 経費にならない
(受け取った親族側も課税されない)
経費になる
(受け取った親族側は課税される)
親族が支払った固定資産税 経費になる

⑧ 家事関連費

自宅を事務所として使っている場合など、一つの支出に事業用とプライベート用が混在している費用を「家事関連費」といいます。このうち、事業で使っていることが明確に区分できる部分だけを、必要経費にできます。(これを「按分」といいます)

例1:家賃10万円の自宅のうち、25%を事務所として使っている
2.5万円を経費にできる

例2:電気代2万円のうち、事業での使用が40%
8,000円を経費にできる

5. 青色申告の特典

青色申告をすることで、様々な税制上の優遇措置が受けられます。

特典 内容
青色申告特別控除 最高65万円(電子申告または電子帳簿保存)
最高55万円(複式簿記による記帳)
最高10万円(簡易な記帳)
所得から控除できるため、大きな節税効果があります。
青色事業専従者給与 家族への給与を全額経費にできる
純損失の繰越控除 赤字が出た場合、翌年以降3年間にわたって繰り越して、黒字と相殺できる
貸倒引当金 一括評価の貸倒引当金を計上できる
少額減価償却資産の特例 30万円未満の資産を全額その年の経費にできる(年間300万円まで)

まとめ

事業所得は、個人事業主やフリーランスが自分のビジネスで得た利益です。計算方法は「総収入金額 − 必要経費」とシンプルですが、何が収入や経費になるのかを正しく理解することが大切です。

特に、青色申告をすることで、最高65万円の青色申告特別控除や、家族への給与を全額経費にできるなど、大きな節税効果が得られます。

個人事業主やフリーランスとして働く際は、税金面でのメリットも考慮しながら、計画的に事業を進めていきましょう。

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