配当所得を理解する – 株式の配当金にかかる税金と賢い選択
株式投資で得られる配当金は「配当所得」として課税されます。しかし、配当所得には3つの課税方法があり、自分の状況に合わせて選ぶことができます。この記事では、配当所得の基本から、どの課税方法を選ぶべきかまで、わかりやすく解説します。
1. 配当所得とは?
配当所得とは、一言でいうと「会社が得た利益の一部を、株主(会社のオーナー)に分配するもの」です。株を持っていると、その会社の業績に応じて「配当金」がもらえることがあります。この配当金が「配当所得」として課税の対象になります。
配当所得に含まれるもの
| 種類 | 説明 |
|---|---|
| 株式の配当金 |
株主総会で「株主の皆様に利益を還元します」と決まると、配当金が支払われます。これが最も一般的な配当所得です。 例:大手メーカーの株を持っていると、年に数回、配当金が銀行口座に振り込まれます。 |
| 投資信託の分配金 |
様々な会社の株をパッケージにした投資信託(株式投資信託、ETF、J-REITなど)から得られる分配金も、配当所得に含まれます。 例:日経225に連動するETFを持っていると、定期的に分配金がもらえます。 注意:公社債投資信託の分配金は「利子所得」に分類されます。 |
2. 配当所得の金額はどう計算する?
配当所得の計算は、基本的にはシンプルですが、一つだけポイントがあります。
利子所得と違い、配当所得では「株式などを購入するための借入金の利子」を必要経費として差し引くことができます。
例えば、A社の株を買うために借りたお金の利子は、B社の株の配当から差し引くことができます。
3. 配当所得の税金はどうなる?
配当所得の税金は、利子所得よりも少し複雑です。なぜなら、投資家が自分の状況に合わせて3つの課税方法から選べるからです。まずは、配当金が支払われる時点で税金が天引き(源泉徴収)されるのが基本です。
源泉徴収税率
| 株式の種類 | 株主の区分 | 税率 |
|---|---|---|
| 上場株式など | 大口株主以外 | 20.315% (所得税15.315% + 住民税5%) |
| 大口株主※ | 20.42% (所得税のみ) |
|
| 非上場株式など | – | 20.42% (所得税のみ) |
その会社の発行済株式の3%以上を保有する株主のことです。一般の個人投資家の多くは「大口株主以外」に該当します。
4. 3つの課税方法を選ぼう!
上場株式の配当金(大口株主以外)を受け取った場合、以下の3つの方法から自分に有利なものを選べます。
給与所得など、他の所得と合算して税金を計算する方法です。確定申告が必要です。
メリット:「配当控除」が使えるため、税金が安くなることがあります。
(配当金は、すでに法人税が課された後の利益から支払われているため、二重課税を調整するための制度です)
デメリット:他の所得と合算するため、所得が高い人は税率も高くなります。
おすすめの人:他に所得が少ない人(課税所得900万円以下など)
他の所得とは分け、配当所得だけで税金を計算する方法です。確定申告が必要です。
メリット:「損益通算」ができます。もし株の売買で損失(譲渡損失)が出ていたら、その損失と配当所得を相殺して、払いすぎた税金を取り戻すことができます。
デメリット:「配当控除」は使えません。
おすすめの人:株の売買で損が出た人
源泉徴収された時点で納税が完了し、何もしなくてよい方法です。
メリット:手間がかからない。確定申告が不要なので、一番簡単です。
デメリット:「配当控除」も「損益通算」も使えません。
おすすめの人:他に所得が多い人(課税所得900万円超など)で、株の売買で損は出ていない人
5. どの方法を選ぶべき? 状況別ガイド
| あなたの状況 | おすすめの課税方法 | メリット |
|---|---|---|
| 株の売買で損が出た | 申告分離課税 | 損失と相殺して税金を取り戻せる(損益通算) |
| 他に所得が少ない (課税所得900万円以下など) |
総合課税 | 税金が安くなる可能性が高い(配当控除) |
| 他に所得が多い (課税所得900万円超など) 株の売買で損は出ていない |
確定申告不要 | 申告の手間が省ける。総合課税より税率が低くなる。 |
6. 課税方法の選択に関する重要ルール
- 「総合課税」と「申告分離課税」は、その年に受け取った全ての上場株式等の配当について、どちらか一方しか選べません。
(A社の株は総合課税、B社の株は申告分離課税、という選び方はできません) - 「確定申告不要」は、配当金を受け取るごとに選ぶことができます。
- 所得税と住民税で異なる課税方法を選ぶことはできません。
(例:所得税では総合課税、住民税では確定申告不要、という選び方はできません)
7. 課税方法別の特典まとめ
| 特典 | 総合課税 | 申告分離課税 | 確定申告不要 |
|---|---|---|---|
| 配当控除の適用 (税金が安くなる) |
○ | × | × |
| 上場株式等の譲渡損失との損益通算 (株の損失と相殺) |
× | ○ | × |
○ = できる × = できない
8. 少額配当の特例
大口株主や非上場株式の配当でも、「少額配当」に該当する場合は、確定申告不要とすることができます。
10万円 × 12 ÷ 12 = 10万円
つまり、1回に受け取る配当金が10万円以下なら、確定申告不要にできます。
まとめ
配当所得は、株式投資の重要な収入源ですが、課税方法を賢く選ぶことで、税負担を大きく減らすことができます。
株の売買で損が出た人は「申告分離課税」で損益通算を、所得が少ない人は「総合課税」で配当控除を、所得が多く損失もない人は「確定申告不要」で手間を省く、というのが基本的な考え方です。
ご自身の投資状況や所得に応じて、最適な課税方法を選び、賢く資産運用を進めましょう。
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