贈与と法律:特殊な贈与を徹底解説
贈与とは、単に財産をあげることだけではありません。法律上は「契約」の一種であり、その形態によって法的効力や税金の扱いが大きく異なります。本記事では、贈与契約の基本から、実務や試験で頻出の「定期贈与」「負担付贈与」「死因贈与」という3つの特殊な贈与について詳しく解説します。
1. 贈与契約の基本
贈与とは、当事者の一方(贈与者)が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方(受贈者)が受諾をすることによって効力を生ずる契約です。
書面によらない契約と書面による契約
| 契約の形態 | 解除の可否 |
|---|---|
| 書面によらない契約(口頭) | 履行が終了した部分を除き、各当事者が解除することができる。 |
| 書面による契約 | 贈与者が一方的に解除することはできない。 |
夫婦間の贈与:夫婦間における贈与契約は、第三者の権利を害しない限り、いつでも夫婦の一方から取り消すことができます。
2. 特殊な贈与(1):定期贈与
定期贈与とは、「毎年100万円を10年間にわたって贈与する」というように、定期の給付を目的とする贈与契約をいいます。
- 失効条件:贈与者・受贈者のいずれかが死亡したときに効力を失います。
- 税務上の注意:定期贈与契約をした年に、定期金給付契約に基づく「定期金に関する権利」の贈与を受けたものとして贈与税が課税されます(毎年贈与税がかかるわけではありません)。
3. 特殊な贈与(2):負担付贈与
負担付贈与とは、「マンションを贈与するが、借入の残債を支払うことを条件とする」など、受贈者に一定の債務を負担させることを条件とした贈与契約です。
主な特徴と法的責任
- 受贈者が負担を履行しない場合、贈与者は贈与契約を解除できます。
- 贈与者は、その負担の限度において、売買契約の売主と同様の担保責任(契約不適合責任)を負います。
税務上の評価
贈与財産の価額から負担額を控除した価額が贈与税の課税価格となりますが、財産の種類によって評価方法が異なります。
| 財産の種類 | 評価方法 |
|---|---|
| 土地・家屋 | 相続税評価額ではなく、通常の取引価額(時価)から負担額を控除。 |
| 上場株式 | 相続税評価額ではなく、課税時期の取引価額(終値)から負担額を控除。 |
第三者への利益:受贈者の負担によって利益を受ける者は、贈与者以外の第三者とすることもできます。この場合、第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したことになり、第三者に贈与税が課税されます。
4. 特殊な贈与(3):死因贈与
死因贈与とは、「私が死んだら私のマンションを贈与する」というように、贈与者の死亡により効力が生じる贈与契約をいいます。
遺贈との違い
遺贈が遺言による一方的な意思表示で成立するのに対し、死因贈与は「契約」であるため、贈与者の意思表示に対して受贈者の受諾の意思表示を要します(書面によらなくてもよい)。
法的性質と税金
- 税金:その性質に反しない限り民法の遺贈に関する規定が準用され、相続税の対象となります。
- 撤回:原則として当事者が一方的に撤回することができます。
負担付死因贈与:負担が履行されていない場合は撤回可能ですが、負担が全部または一部履行された場合は、原則として撤回することができません。
まとめ
- 贈与は「契約」であり、書面の有無で解除のルールが異なる。
- 定期贈与は、契約時に「権利」として一括課税される可能性がある点に注意。
- 負担付贈与は、土地・家屋の評価が「時価」ベースになる点が通常の贈与と異なる。
- 死因贈与は、契約でありながら「相続税」の対象となる。

コメント