所得の種類と所得税の仕組みを徹底理解!賢い節税の第一歩
所得税は私たちにとって身近な税金ですが、その仕組みは複雑に感じられるかもしれません。この記事では、ファイナンシャルプランナーの視点から、所得税の基本的な仕組み、10種類の所得、課税方法、そして計算手順までを分かりやすく解説します。所得税を正しく理解し、賢い節税へと繋げましょう。
1. 所得税とは?基本のキ
所得税の定義と計算の基本
所得税とは、個人が1月1日から12月31日までの1年間(暦年単位)に得た所得に対してかかる国税です。その年の所得から、その収入を得るためにかかった必要経費を差し引いた金額が「所得金額」となります。そして、この所得金額に対して税金が課されます。
所得金額の計算式
所得金額 = 1年間の収入金額 - 必要経費
所得税は、納税義務者自らが1年間の所得金額と税額を計算し、翌年2月16日から3月15日までに住所地の税務署長に確定申告書を提出して納税する「確定申告」という方法が原則です。
納税義務者の種類
所得税の納税義務者は、その居住地によって「居住者」と「非居住者」に分けられます。また、居住者の中には「非永住者」という区分もあります。それぞれ課税される所得の範囲が異なります。
| 納税義務者の分類 | 課税所得の範囲 |
|---|---|
| 居住者 | 国内に住所を有し、または現在まで引き続き1年以上居所を有する個人。 |
| 非永住者 | 居住者のうち、日本国籍を有しておらず、かつ、過去10年間のうち5年以下の期間、国内に住所または居所を有する者。国内源泉所得および国外源泉所得のうち国内で支払われたもの、または国外から送金されたものが課税対象。 |
| 居住者(上記以外) | 国内源泉所得および国外源泉所得が課税対象。 |
| 非居住者 | 国内に住所を有せず、かつ、現在まで引き続き1年以上居所を有しない個人。国内源泉所得のみが課税対象。 |
2. 知っておきたい!所得の10種類と具体例
所得の種類一覧表
所得税法では、所得はその性質に応じて10種類に区分されています。それぞれの所得には、計算方法や課税方法が異なります。主な所得の種類と具体例を見ていきましょう。
| 所得の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 利子所得 | 預貯金の利子、公社債の利子 |
| 配当所得 | 株式の配当金 |
| 不動産所得 | 不動産の貸付けによる所得(家賃、地代など) |
| 事業所得 | 個人事業主の所得 |
| 給与所得 | 給料、賞与 |
| 退職所得 | 退職一時金 |
| 山林所得 | 山林(立木)の譲渡による所得 |
| 譲渡所得 | 資産の譲渡による所得(土地建物等、株式等、一般の資産) |
| 一時所得 | 生命保険の満期保険金など、一時的な所得 |
| 雑所得 | 公的年金(老齢給付)、個人年金保険の年金、副業による所得 |
非課税所得とは?
所得の中には、社会政策上の理由などにより課税されない「非課税所得」があります。これらは所得税の計算上、所得とはみなされません。主な非課税所得は以下の通りです。
- 公的年金の遺族給付・遺族年金
- 雇用保険、健康保険、国民健康保険、労災保険の保険給付等
- 給与所得者の出張旅費、転勤旅費等、通勤手当(月額15万円が上限)
- 生活に必要な動産の譲渡による所得(貴金属、宝石、骨董等で1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税対象)
- 心身に受けた損害や突発的な事故により資産に加えた損害に基づき受ける損害賠償金、損害賠償等
- 宝くじの当選金
※マイカー・自転車を使用している通勤者の非課税となる月額限度額は、片道の通勤距離に応じて定められています(2025年4月現在、最大31,600円)。
3. 所得税の課税方法:総合課税と分離課税
所得税の課税方法は、大きく分けて「総合課税」と「分離課税」の2種類があります。所得の種類によって、どちらの課税方法が適用されるかが決まります。
総合課税の対象となる所得
総合課税とは、複数の所得を合算(総合)して税額を計算する方法です。以下の所得が総合課税の対象となります。
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 一時所得
- 譲渡所得(一般の資産の譲渡)
- 雑所得
分離課税の種類と対象所得
分離課税とは、他の所得と合算せず、その所得にだけ税率を適用して税額を計算する方法です。さらに「申告分離課税」と「源泉分離課税」に分かれます。
| 分離課税の種類 | 特徴 | 対象所得の例 |
|---|---|---|
| 申告分離課税 | 原則として確定申告が必要。 | 利子所得(特定公社債等)、土地建物等の譲渡所得、株式等の譲渡所得、山林所得、退職所得、一定の先物取引による雑所得等 |
| 源泉分離課税 | 確定申告は不要。支払いの際に税金が源泉徴収され、課税関係が終了する。 | 利子所得(預貯金) |
超過累進税率とは?所得税額の計算方法
所得税は、課税総所得金額に応じて税率が段階的に高くなる「超過累進税率」が適用されます。課税所得金額が高くなるほど、より高い税率が適用される仕組みです。
所得税額の計算式
所得税額 = 課税所得金額 (A) × 税率 (B) - 控除額 (C)
| 課税所得金額 (A) | 税率 (B) | 控除額 (C) |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
4. 所得税の計算手順をフローで理解する
所得税の計算は、いくつかのステップを経て行われます。複雑に感じるかもしれませんが、以下のフローチャートを参考に、順を追って見ていきましょう。
- 所得の種類を把握する: まず、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得のいずれに該当するかを確認します。
- 損益通算を行う: 不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得で損失が出た場合、他の所得と相殺(損益通算)することができます。これにより、全体の所得を減らすことが可能です。
- 損失の繰越控除: 損益通算しきれなかった損失がある場合、翌年以降に繰り越して所得から控除することができます。
- 総所得金額を計算する: 各種所得を合算し、総所得金額を算出します。
- 所得控除を適用する: 基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除など、納税者の状況に応じた様々な所得控除を総所得金額から差し引きます。
- 課税所得金額を算出する: 総所得金額から所得控除を差し引いた金額が、税率を適用する対象となる「課税所得金額」です。
- 税率を適用する: 課税所得金額に応じて、前述の超過累進税率を適用し、所得税額を計算します。
- 税額控除を適用する: 住宅ローン控除や配当控除など、特定の条件を満たす場合に直接税額から差し引かれる「税額控除」を適用します。
- 所得税額が確定する: これら一連の計算を経て、最終的な所得税額が確定します。
家を売ったり株を売ったり退職金が入ったりすると、その年の所得が増えます。それらを総合課税に加えて計算をすると、税率が上がりその年の納税額が多くなってしまいます。なので、申告を分けて(申告分離課税)6.のように個別に計算をし、納税額を軽減します。
復興特別所得税について
東日本大震災からの復興財源を確保するため、2013年(平成25年)から2037年(令和19年)までの各年分の所得税額には、復興特別所得税が課されます。これは、基準所得税額に2.1%を乗じて計算されます。
復興特別所得税の計算式
復興特別所得税額 = 基準所得税額 × 2.1%
まとめ
所得税の仕組みを理解することは、家計の管理や将来の資産形成において非常に重要です。所得の種類、課税方法、そして計算手順を正しく把握することで、ご自身の税負担を適切に管理し、賢い節税へと繋げることができます。この記事で学んだ知識を活かし、ご自身の資産形成に役立ててください。ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。