不動産所得とは?ほかの所得との関係は?

不動産所得を理解する – 大家さんの家賃収入にかかる税金

アパートやマンションを貸して得られる家賃収入は「不動産所得」として課税されます。この記事では、不動産所得の基本から、事業的規模で経営する場合の特典まで、わかりやすく解説します。

1. 不動産所得とは?

不動産所得とは、一言でいうと「不動産を貸して得られる利益」のことです。アパートやマンションの大家さん(オーナー)が得る家賃収入が、その代表例です。

不動産所得に含まれるもの

種類 説明
アパート・マンションの
家賃収入
大家さんが入居者から毎月受け取る家賃が、最も一般的な不動産所得です。

例:ワンルームマンションを10室持っていて、1室あたり月5万円の家賃を受け取っている場合、年間600万円の収入になります。
土地や駐車場の地代 土地を貸して地代を受け取ったり、駐車場を経営して駐車料金を受け取ったりする場合も、不動産所得になります。

例:月極駐車場を経営して、1台あたり月1万円の駐車料金を受け取っている。
ビルのテナント料 商業ビルやオフィスビルを貸して、テナント料(賃料)を受け取る場合も、不動産所得になります。

例:1階に飲食店、2階に事務所が入っているビルを所有している。
事業的規模でも「不動産所得」
たとえ、アパートを10棟経営するような大規模な大家さんであっても、その所得は「事業所得」ではなく「不動産所得」に分類されます。この規模の判断基準として、よく「5棟10室基準」(独立家屋なら5棟、アパートなら10室以上)が使われます。

2. 不動産所得の金額はどう計算する?

不動産所得の計算は、以下の式で求められます。

不動産所得の金額 = 総収入金額 − 必要経費

青色申告をしている場合は、ここからさらに「青色申告特別控除」を差し引くことができます。

総収入金額に含まれるもの

基本的には、「返さなくていいお金」がすべて収入になります。

項目 説明
家賃・地代 毎月受け取る家賃や地代が基本です。
共益費 共用部分の電気代や清掃費などの名目で受け取るお金も収入になります。
礼金・更新料 入居時に受け取る礼金や、契約更新時の更新料は、返還しないため収入になります。
敷金・保証金 退去時に返還しないことが確定した部分(原状回復費用など)は、収入になります。
ただし、全額返還する場合は収入になりません。

必要経費に含まれるもの

不動産収入を得るために「直接かかった費用」が必要経費になります。

項目 説明
税金 固定資産税、不動産取得税、登録免許税、事業税など
保険料 火災保険料、地震保険料など
管理費 管理会社に支払う費用、清掃費、エレベーターの保守点検費用など
修繕費 建物の修理やリフォーム費用(ただし、資産価値を高める大規模な改修は「資本的支出」として減価償却の対象になります)
減価償却費 建物の価値の減少分を、数年にわたって経費として計上するもの。
例えば、2,000万円で建てた木造アパート(耐用年数22年)なら、毎年約91万円を経費にできます。
借入金利子 アパートローンなどの利子部分(元本は経費になりません)
注意:賃貸を始める前の期間の利子は、経費にならず、建物の取得価額に含まれます。
立退料 入居者に退去してもらうために支払う立退料は、原則として経費になります。
ただし、建物を売却するための立退料は「譲渡費用」になります。
仲介手数料 入居者を募集する際に不動産会社に支払う仲介手数料は経費になります。
ただし、物件を購入する際の仲介手数料は「取得価額」に含まれます。

3. 不動産所得? それとも他の所得?

不動産を貸すことに関連する収入でも、不動産所得にならないケースがあります。

ケース 不動産所得になる場合 他の所得になる場合
下宿や寮 食事をつけずに部屋だけを貸す 食事付きで貸す
→ 事業所得または雑所得
駐車場 場所を貸すだけで、車の管理はしない 車を預かり管理責任を負う
→ 事業所得または雑所得
権利金 土地の時価の50%以下の権利金を受け取った 土地の時価の50%を超える権利金を受け取った
→ 譲渡所得
広告 屋上や壁面を広告用に貸す
不動産の売却 賃貸していた不動産を売却した
→ 譲渡所得
不動産業者 販売目的の物件を一時的に貸した
→ 事業所得
ポイント:「役務の提供」があるかどうかが判断基準です。
単に場所を貸すだけなら不動産所得ですが、食事を提供したり、車の管理をしたりする場合は、事業所得または雑所得になります。

4. 事業的規模だと何が違うの?

不動産経営が「事業的規模」と認められると、税金面で様々な特典が受けられます。

事業的規模の判断基準「5棟10室基準」

独立家屋:5棟以上
アパート・マンション:おおむね10室以上
駐車場:50台分以上(駐車場5台分 = アパート1室として換算)

これらの基準を満たしていれば、特に反証がない限り、事業的規模と認められます。

事業的規模の特典

特典 事業的規模 事業的規模以外
青色申告特別控除 最高65万円
(一定の要件を満たした場合)
または最高55万円
最高10万円
専従者給与 家族への給与を全額経費にできる(青色申告)
または、配偶者86万円、その他の親族50万円まで控除(白色申告)
認められない
貸倒損失 家賃の踏み倒しがあった場合、その年の経費にできる 過去に遡って、その年の収入がなかったことにする
資産損失
(建物の取り壊し)
建物の取り壊しなどで損失が出た場合、他の所得(給与所得など)と相殺(損益通算)できる 不動産所得の範囲内でしか経費にできない
貸倒引当金 個別評価の貸倒引当金の設定が認められる 認められない
事業的規模で不動産経営を行うと、青色申告をすることで、節税効果が非常に大きくなります。特に「専従者給与」「青色申告特別控除65万円」は大きなメリットです。

5. 青色申告特別控除を最大限活用しよう

青色申告をすることで、不動産所得から一定額を控除できる「青色申告特別控除」が受けられます。

控除額 要件 効果
最高65万円 ・事業的規模
・電子申告(e-Tax)または電子帳簿保存
所得税・住民税合わせて約20万円の節税
最高55万円 ・事業的規模
・複式簿記による記帳
・貸借対照表と損益計算書の提出
所得税・住民税合わせて約17万円の節税
最高10万円 ・事業的規模以外
または簡易な記帳
所得税・住民税合わせて約3万円の節税

まとめ

不動産所得は、アパートやマンションを貸して得られる家賃収入による所得です。計算方法は「総収入金額 − 必要経費」とシンプルですが、何が収入や経費になるのかを正しく理解することが大切です。

不動産経営を行う場合は、青色申告をすることで、最高65万円の青色申告特別控除や、家族への専従者給与を全額経費にできるなど、大きな節税効果が得られます。

不動産投資を始める際は、税金面でのメリットも考慮しながら、計画的に進めていきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました