給与所得に関わるお金の話です

給与所得を理解する – 会社員・アルバイトの税金

会社員やアルバイトとして働いている方が受け取る給料やボーナスは「給与所得」として課税されます。この記事では、給与所得の基本から、控除の仕組み、税金の計算方法まで、わかりやすく解説します。

1. 給与所得とは?

給与所得とは、会社員やアルバイトの方が、勤務先から受け取る給料やボーナスなどのことです。基本的には、会社から受け取るお金のほとんどが給与所得になります。

また、個人事業主の家族が受け取る「青色事業専従者給与」や「事業専従者控除」も、給与所得として扱われます。

税金がかからないもの(非課税)

給与の中には、税金がかからないものもあります。以下のようなものが非課税とされています。

項目 説明
通勤手当 電車やバスなどの交通費として支給される手当
上限:月額15万円まで非課税
マイカー・自転車通勤の場合:片道の通勤距離に応じて非課税額が決まる(2025年4月現在、最大31,600円/月)
※ 片道2km未満の場合は全額課税される
出張旅費 出張にかかった交通費や宿泊費
現物給付 職務上必要な制服や作業着など
注意:通勤手当は、通勤に「通常必要」と認められる範囲内でのみ非課税です。過度に高額な場合は課税される可能性があります。

2. 給与所得の計算方法

給与所得は、以下の式で計算されます。

給与所得の金額 = 収入金額(額面) − 給与所得控除額

「給与所得控除」とは、会社員にとっての「必要経費」のようなもので、収入に応じて自動的に決まります。個人事業主のように実際の経費を計算する必要はなく、国が定めた基準に基づいて控除額が決定されます。

給与所得控除額の早見表

給与等の収入金額(額面) 給与所得控除額
190万円以下 65万円(最低保障額)
190万円超~360万円以下 収入金額 × 30% + 8万円
360万円超~660万円以下 収入金額 × 20% + 44万円
660万円超~850万円以下 収入金額 × 10% + 110万円
850万円超 195万円(上限)
計算例:年収400万円の会社員の場合

給与所得控除額 = 400万円 × 20% + 44万円 = 124万円
給与所得 = 400万円 − 124万円 = 276万円

3. 所得金額調整控除

年収が850万円を超える場合、特定の条件に当てはまると、さらに税金の負担を軽くしてくれる「所得金額調整控除」という制度があります。この制度には2種類あります。

① 子ども・特別障害者等を有する者の所得金額調整控除

子育て世帯や介護世帯の負担を軽減するための制度です。

項目 内容
対象者 給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者で、以下のいずれかに該当する方
・23歳未満の扶養親族を有する者
・本人が特別障害者に該当する者
・特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する者

夫婦ともに該当する場合、夫婦双方が適用を受けることができます。
控除額 (給与収入金額 − 850万円)× 10%
※ 給与収入が1,000万円を超える場合は、1,000万円として計算
→ 控除額の上限は15万円
例:年収900万円で、小学生の子どもがいる場合

所得金額調整控除額 = (900万円 − 850万円)× 10% = 5万円
この5万円が給与所得から差し引かれ、税金が軽減されます。

② 給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除

給与と年金の両方をもらっている方へ設けられた制度です。

項目 内容
対象者 給与所得控除後の給与等の金額と、公的年金等に係る雑所得の金額がある給与所得者で、その合計額が10万円を超える方
控除額 (給与所得控除後の給与等の金額 + 公的年金等に係る雑所得の金額)− 10万円
※ 10万円を超える場合は、10万円が上限
例:給与所得が80万円、年金所得が60万円の場合

合計額 = 80万円 + 60万円 = 140万円
所得金額調整控除額 = 140万円 − 10万円 = 130万円
→ ただし上限が10万円なので、10万円が控除されます。
※公的年金等控除等ほかの説明は省きます

4. 給与所得者の特定支出控除

仕事のために自腹で支払った費用が多い場合、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性があります。これを「特定支出控除」といいます。

特定支出とは?

以下のような、仕事に直接必要な費用が「特定支出」として認められます。

項目 説明
通勤費 会社が負担してくれない通勤費
職務上の旅費 出張で自己負担した交通費や宿泊費
転居費 転勤に伴う引っ越し費用
研修費 職務に必要な研修の受講料
資格取得費 仕事に必要な資格を取るための費用
単身赴任の帰宅旅費 単身赴任先から自宅に帰るための交通費
勤務必要経費 仕事に必要な図書費、衣服費、交際費など
※ 合計65万円までが上限

控除を受けるための条件

特定支出控除を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。

1年間の特定支出の合計額 > その年の給与所得控除額 × 1/2

この条件を満たした場合、その年の給与所得控除額 × 1/2を超えた部分だけが給与所得から差し引くことができます。

例:年収500万円の会社員が、資格取得費や研修費で年間100万円を自己負担した場合

給与所得控除額 = 500万円 × 20% + 44万円 = 144万円 (給与所得控除額の早見表参照)
給与所得控除額の半分 = 144万円 ÷ 2 = 72万円

特定支出の合計額(100万円)が、給与所得控除額の半分(72万円)を超えているため、
100万円 − 72万円 = 28万円を給与所得から差し引くことができます。
ポイント:特定支出控除を受けるには、確定申告が必要です。また、会社からの証明書が必要な場合もあります。

5. 給与所得の課税方法

会社員の場合、毎月の給料から所得税が天引き(源泉徴収)されています。そして、年末に会社が「年末調整」を行い、1年間の正しい税額を計算してくれます。

年末調整では、生命保険料控除や住宅ローン控除などを反映して、払いすぎた税金が還付されたり、不足分が徴収されたりします。

確定申告が必要なケース

以下のような場合は、年末調整だけでは完結せず、自分で確定申告をする必要があります。

確定申告が必要なケース
・給与収入が2,000万円を超える場合
・2か所以上から給与をもらっている場合
・給与以外の所得(副業など)が20万円を超える場合
・医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税など)を受けたい場合
・特定支出控除を受けたい場合
ポイント:確定申告を行う場合、給与所得は「総合課税」として、他の所得と合算して税額が計算されます。

まとめ

給与所得は、会社員やアルバイトの方が受け取る給料やボーナスのことで、「収入金額 − 給与所得控除額」で計算されます。給与所得控除は、会社員にとっての必要経費のようなもので、収入に応じて自動的に決まります。

年収が850万円を超える場合は、子育て世帯や介護世帯への配慮として「所得金額調整控除」が適用される可能性があります。また、仕事のために自腹で支払った費用が多い場合は、「特定支出控除」を活用することで、税金を軽減できます。

ほとんどの会社員は年末調整で税金の精算が完了しますが、副業をしている方や医療費控除を受けたい方などは、確定申告が必要になります。自分の状況に応じて、適切に税金の手続きを行いましょう。

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