社会保険上の扶養の壁と税法上の配偶者控除・配偶者特別控除の比較表
「扶養の壁」には、社会保険上の扶養と税法上の扶養という2つの異なる制度があります。この2つは別々の制度であり、それぞれ異なる年収基準が設けられています。2025年の税制改正により、税法上の扶養は大幅に緩和されましたが、社会保険上の扶養の基準は引き続き106万円・130万円の壁が存在します。
この記事では、2025年11月時点の最新情報に基づき、社会保険上の扶養の壁と税法上の配偶者控除・配偶者特別控除の所得制限を比較し、わかりやすく解説します。
年収の壁 一覧比較表(2025年11月時点)
| 年収の壁 | 制度の種類 | 発生する影響 | 2025年の変更点 |
|---|---|---|---|
| 123万円 | 税法上の扶養 (配偶者控除) |
配偶者控除(38万円)が受けられなくなる ※配偶者特別控除に移行 |
103万円から123万円に引き上げ |
| 160万円 | 税法上の扶養 (配偶者特別控除) |
配偶者特別控除の満額(38万円)が受けられなくなる ※160万円超から段階的に減少 |
150万円から160万円に引き上げ |
| 201.6万円 | 税法上の扶養 (配偶者特別控除) |
配偶者特別控除が完全に受けられなくなる | 変更なし |
| 106万円 | 社会保険上の扶養 | 一定の条件を満たすと社会保険加入義務が発生 (従業員51人以上の企業、週20時間以上など) |
2024年10月から従業員51人以上の企業が対象に ※2025年6月20日から3年以内に月収要件撤廃予定 |
| 130万円 | 社会保険上の扶養 | 社会保険の扶養から外れ、自分で社会保険に加入する必要がある | 変更なし |
【重要なポイント】
社会保険上の扶養と税法上の扶養は別の制度です。扶養内で働きたい場合は、両方の基準を意識する必要があります。特に、税法上の扶養は2025年から大幅に緩和されましたが、社会保険上の扶養の基準(106万円・130万円)は引き続き存在するため、注意が必要です。
社会保険上の扶養の壁 詳細
106万円の壁(社会保険の加入義務)
以下の条件をすべて満たす場合、年収が106万円(月額88,000円)以上で社会保険への加入が義務付けられます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 企業規模 | 従業員数が51人以上の企業に勤務 (厚生年金保険の適用対象者数で判断) |
| 労働時間 | 週の所定労働時間が20時間以上 |
| 月額賃金 | 月額88,000円以上(年収換算で約106万円) |
| 雇用見込み | 2ヶ月を超える雇用の見込みがある |
| 学生 | 学生ではない(原則) |
【今後の制度改正予定】
2025年に成立した年金制度改正法により、以下の変更が予定されています。
- 月額賃金要件(88,000円以上)の撤廃: 2025年6月20日から3年以内に撤廃予定
- 企業規模要件の段階的撤廃: 2027年10月以降、段階的に縮小・撤廃予定
130万円の壁
年間収入が130万円以上になると、106万円の壁の条件に該当しない場合でも、社会保険の扶養から外れます。この場合、勤務先で社会保険に加入しない場合は、国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。
税法上の配偶者控除・配偶者特別控除 詳細
配偶者控除(123万円の壁)
配偶者の年収が123万円以下の場合、納税者本人が配偶者控除(38万円)を受けられます。2025年の税制改正により、従来の103万円から123万円に引き上げられました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 配偶者の年収基準 | 123万円以下(2025年から、従来は103万円以下) |
| 配偶者の合計所得金額 | 58万円以下 |
| 控除額 | 38万円(納税者本人の合計所得金額900万円以下の場合) |
| 老人控除対象配偶者 | 48万円(配偶者が70歳以上の場合) |
配偶者特別控除(160万円・201.6万円の壁)
配偶者の年収が123万円を超えても、201.6万円未満であれば配偶者特別控除を受けられます。2025年の税制改正により、満額控除(38万円)を受けられる年収上限が150万円から160万円に引き上げられました。
| 配偶者の年収 | 配偶者特別控除額 (納税者本人の合計所得金額900万円以下の場合) |
|---|---|
| 123万円超〜160万円以下 | 38万円(満額) |
| 160万円超〜165万円以下 | 36万円 |
| 165万円超〜170万円以下 | 31万円 |
| 170万円超〜175万円以下 | 26万円 |
| 175万円超〜180万円以下 | 21万円 |
| 180万円超〜185万円以下 | 16万円 |
| 185万円超〜190万円以下 | 11万円 |
| 190万円超〜197.2万円以下 | 6万円 |
| 197.2万円超〜201.6万円未満 | 3万円 |
| 201.6万円以上 | 0円 |
【納税者本人の所得制限】
配偶者控除・配偶者特別控除ともに、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えると適用されません。
【まとめ】社会保険と税法の扶養の壁を理解しよう
| 制度 | 主な年収の壁 | 2025年の変更 |
|---|---|---|
| 社会保険上の扶養 | 106万円、130万円 | 2024年10月から従業員51人以上の企業が対象 今後、段階的に要件が撤廃される予定 |
| 税法上の扶養 | 123万円、160万円、201.6万円 | 配偶者控除: 103万円→123万円 配偶者特別控除満額: 150万円→160万円 |
扶養内で働きたい場合は、社会保険と税法の両方の基準を意識する必要があります。特に、税法上の扶養は2025年から大幅に緩和されましたが、社会保険上の扶養の基準(106万円・130万円)は引き続き存在するため、働き方を調整する際は両方を考慮することが重要です。
個別のケースについては、勤務先の人事・労務担当者、税務署、年金事務所、または健康保険組合にご相談ください
参考情報
- 厚生労働省「年収の壁」への対応: https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
- 厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト: https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/
- 国税庁「配偶者控除」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm
- 国税庁「配偶者特別控除」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm