株式の売買を理解する – 株式投資の実践知識
株式投資を始めるには、証券取引所の仕組みだけでなく、実際の株式売買の方法を理解することが大切です。この記事では、株の注文方法から配当金の受け取り方まで、株式売買の基本をわかりやすく解説します。
1. 株式投資の基本単位「単元株」とは?
株式を売買するときの基本単位を「単元株」といいます。多くの企業では「1単元 = 100株」と定められており、株式投資は基本的にこの100株単位で行います。これを単元株制度と呼びます。
1,000円 × 100株 = 10万円の資金が必要になります。
2. 株の注文方法:「成行」と「指値」
株を売買するときの注文方法には、大きく分けて「成行注文」と「指値注文」の2種類があります。それぞれの特徴を理解して、状況に応じて使い分けることが大切です。
| 注文方法 | 特徴 |
|---|---|
| 成行 (なりゆき)注文 |
「いくらでもいいから、今すぐ買いたい(売りたい)」という注文方法です。 メリット:価格を指定しないため、取引がスピーディーに成立しやすい。 デメリット:予期せぬ高い値段で買ってしまったり、安い値段で売ってしまったりする可能性がある。 ※成行注文は、指値注文よりも優先して取引が成立します。 |
| 指値 (さしね)注文 |
「この値段で買いたい(売りたい)」と、自分で価格を指定する注文方法です。 メリット:希望の値段で取引できる。 デメリット:その値段に達しないと取引が成立しないこともある。 価格優先の原則:買い注文は「より高い価格」が、売り注文は「より低い価格」が優先されます。 時間優先の原則:同じ価格の注文が複数ある場合は、「先に出された注文」から順番に取引が成立します。 |
3. 取引の成立方法:「板寄せ」と「ザラバ」
証券取引所での売買の成立方法には、主に「板寄せ方式」と「ザラバ方式」の2つがあります。これらは取引時間帯によって使い分けられています。
| 売買方式 | 特徴と実施タイミング |
|---|---|
| 板寄せ (いたよせ)方式 |
実施タイミング:取引開始時(寄付)と取引終了時(引け) 一定時間、投資家からの「買いたい」「売りたい」という注文をすべて集め、最も多くの注文が成立する価格を算出し、その価格で一斉に取引を成立させます。 その日の最初の値段(始値)と最後の値段(終値)は、この方法で決まります。 ※時間優先の原則は適用されず、価格優先のみで取引が成立します。 |
| ザラバ方式 |
実施タイミング:取引時間中(始値と終値の間) 注文が次々と入ってくる中で、条件が合うものから順番に取引を成立させていきます。私たちが普段目にする株価の動きは、このザラバ方式によるものです。 価格優先の原則と時間優先の原則に従い、合致した順に次々と約定させます。 ※15:25にザラバは終了し、15:30までの5分間は注文受付のみ行います(クロージング・オークション)。 |
4. 株の受け渡し:「約定日」と「受渡日」
株式の売買では、取引が成立した日と、実際にお金と株の受け渡しが行われる日が異なります。
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 約定日 (やくじょうび) |
株の売買が成立した日のことです。この日に「いくらで何株買った(売った)」が確定します。 |
| 受渡日 (うけわたしび) |
実際に株とお金の受け渡し(決済)が行われる日のことです。 通常、約定日から数えて3営業日目が受渡日となります。 |
・月曜日 = 約定日(取引成立)
・水曜日 = 受渡日(代金支払い、株主としての権利取得)
5. 配当金や株主優待をもらうには?「権利確定日」
株式投資の魅力の一つは、配当金や株主優待を受け取れることです。これらの権利を得るには、「権利確定日」と「権利付最終日」を理解することが重要です。
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 権利確定日 | 配当金や株主優待など、株主としての権利がもらえるかどうかを確定する日のことです。多くの企業では、決算日(3月末や9月末など)が権利確定日になります。 |
| 権利付最終日 |
その権利を得るために、株を買わなければならない最終日です。 通常、権利確定日の2営業日前になります。 この日までに株を購入すれば、受渡日が権利確定日以降になっても、配当金や株主優待を受け取る権利が得られます。 |
権利付最終日 = 3月29日(水)
3月29日(水)までに株を買っておけば、配当金や株主優待を受け取ることができます。
6. 配当金の受け取り方
配当金の受け取り方には、主に以下の4つの方法があります。ご自身の投資スタイルに合わせて選択しましょう。
| 受取方法 | 特徴 |
|---|---|
| 株式数比例配分方式 |
証券会社の口座で直接受け取る方法。すべての銘柄について、証券会社の口座で配当金を受け取ります。同一銘柄を複数の証券会社で保有している場合は、残高に応じて各社へ入金されます。 メリット:NISA口座で非課税の恩恵を受けるには、この方法を選ぶ必要があります。 |
| 登録配当金受領 口座方式 |
あらかじめ登録した銀行口座で、すべての銘柄の配当金をまとめて受け取る方法。 メリット:複数の証券会社で株を保有していても、1つの銀行口座で一括管理できます。 |
| 個別銘柄指定方式 |
銘柄ごとに、受け取る銀行口座を指定する方法。 メリット:銘柄ごとに異なる口座を指定できます。 |
| 配当金領収証方式 |
郵送されてくる「配当金領収証」をゆうちょ銀行・郵便局に持っていき、現金で受け取る方法。 デメリット:手間がかかり、受取期限もあります。 |
7. 少額から始める株式投資
「100株単位はハードルが高い…」という方向けに、少額から始められる投資方法もあります。
株式累積投資(るいとう)
毎月1万円など、決まった金額で同じ銘柄をコツコツと買い付けていく方法です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 |
毎月、一定金額ずつ、株式を積み立てて買い付ける制度。 1銘柄につき1万円以上100万円未満(1,000円単位)で設定できます。 |
| メリット |
・ドルコスト平均法の効果で、価格変動のリスクを抑えながら積み立てができる ・配当金は自動的に再投資されるため、複利効果が期待できる ・少額から始められる |
| 注意点 |
・配当金は自動的に翌月の買付代金に充当されるため、現金で受け取ることはできない ・単元株に達するまでは、証券会社名義となり、議決権はない |
株式ミニ投資(ミニ株)
通常の10分の1の単位(10株)から株を売買できる制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 |
単元株の10分の1単位(10株単位)の株数で売買できる制度。 約定日は、売買注文日の翌営業日となります(受渡日は注文日から起算して4営業日目)。 |
| メリット |
・少額で、気になる企業の株を試しに買ってみることができる ・単元未満株のままいつでも売却できる ・配当金は保有株数に応じて受け取れる |
| 制約 |
・指値注文ができない(成行注文のみ) ・対象銘柄が証券会社の選定した銘柄に限られる ・単元株に達するまでは、証券会社名義となり、議決権はない |
株式累積投資やミニ株などで保有する単元未満株は、単元株(100株)に達するまでは証券会社名義となり、議決権などの株主権利が一部制限されます。ただし、配当金は保有株数に応じて受け取ることができます。単元株に達した部分については、投資家名義となり、通常の株主権利を得られます。
まとめ
株式の売買には、単元株制度、注文方法、取引の成立方法、受け渡しのタイミングなど、理解すべき基本的なルールがあります。これらを正しく理解することで、より効果的な株式投資が可能になります。
特に初心者の方は、成行注文と指値注文の使い分け、権利確定日と権利付最終日の関係、配当金の受け取り方法などをしっかりと押さえておきましょう。また、少額から始めたい方には、株式累積投資やミニ株といった選択肢もあります。
株式投資は、証券取引所の仕組みと売買の基本を理解することから始まります。この記事で学んだ知識を活かして、安心して株式投資を始めてみましょう。
コメント