日本の教育資金:国のローン・奨学金・授業料無償化を解説
教育資金の準備は、多くのご家庭にとって重要な課題です。幸いなことに、日本には学生の学びを支えるための様々な公的制度が存在します。
この記事では、代表的な3つの制度「国の教育ローン(教育一般貸付)」「日本学生支援機構(JASSO)の奨学金」「大学等の授業料無償化」について、それぞれの特徴や利用条件をわかりやすく解説していきます。
1. 国の教育ローン(教育一般貸付)
「国の教育ローン」は、日本政策金融公庫が取り扱う、教育資金を目的とした公的な融資制度です。保護者が借り入れの対象となり、幅広い教育資金ニーズに対応しています。
(1) 制度の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる学校 | 中学校卒業以上を対象とする教育施設 (高校、大学、専門学校、予備校、デザイン学校など) |
| 資金使途 | 入学金、授業料、受験費用、在学のための住居費用、教科書代、パソコン購入費など |
| 融資限度額 | 学生・生徒1人につき350万円以内 (自宅外通学、修業年限5年以上の大学、大学院、海外留学資金の場合は450万円以内) |
| 返済期間 | 20年以内 |
| 金利 | 固定金利 |
| 保証 | 教育資金貸付保証基金による保証、または連帯保証人 |
| 返済方法 | 元利均等返済。在学期間中は利息のみの返済も可能 |
(2) 利用の条件:世帯年収の上限
利用するには、世帯年収(所得)に上限が設けられています。子供の人数によって上限額が異なります。
| 子供の人数 | 世帯年収上限 | 所得上限 |
|---|---|---|
| 1人 | 790万円 | 600万円 |
| 2人 | 890万円 | 690万円 |
| 3人 | 990万円 | 790万円 |
| 4人 | 1,090万円 | 890万円 |
| 5人 | 1,190万円 | 990万円 |
世帯年収(所得)の上限緩和
以下のいずれかに該当する場合、上限が990万円(所得790万円)まで緩和されます。
- 勤続(営業)年数が3年未満
- 居住年数が1年未満
- 自宅外通学や単身赴任
- 海外留学資金の利用
- 借入負担や介護費の負担がある
- 災害特例措置の対象
(3) 優遇制度
特定の条件を満たす家庭では、金利や保証料の優遇が受けられます。
| 優遇内容 | 対象条件 |
|---|---|
| 金利▲0.4% | ・世帯年収200万円(所得132万円)以内 ・交通遺児家庭・ひとり親家庭 |
| 金利▲0.4%
保証料軽減2分の1 |
・子供が3人以上で世帯年収500万円(所得356万円)以内 |
2. 日本学生支援機構(JASSO)の奨学金
日本学生支援機構(JASSO)は、国内で最も多くの学生が利用する奨学金制度を運営しています。奨学金は、大きく分けて「貸与型」と「給付型」の2種類があります。
(1) 貸与型奨学金(返済必要)
卒業後に返済が必要な奨学金です。利息の有無によって2つのタイプに分かれます。
第一種奨学金(無利息)
特に優れた学生及び生徒であって経済的理由により著しく修学が困難な人に対して貸与されます。
第二種奨学金(有利息)
第一種奨学金よりも緩やかな基準で利用できます。在学中は無利息ですが、卒業後に利息(上限年3%)がつきます。
入学時特別増額貸与奨学金
入学時の初期費用を補うための有利息の奨学金も利用できます。
(2) 給付型奨学金(返済不要)
返済が不要な奨学金で、国の「高等教育の修学支援新制度」の中核をなすものです。この制度は、給付型奨学金の支給と授業料・入学金の減免という2つの支援がセットになっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 世帯の収入基準を満たし、学ぶ意欲がある学生 |
| 支援内容 | ・給付型奨学金の支給(学生本人の口座に振込) ・大学・専門学校等の授業料および入学金の免除または減額 |
| 注意点 | 第二種奨学金との併用は可能ですが、第一種奨学金との併用には制限があります |
(3) 授業料後払い制度
大学院修士課程や専門職学位課程の学生を対象とした新しい制度です。在学中は授業料を納付せず、卒業後の所得に応じて後払いができます。授業料相当額の支援(授業料支援金)と、生活費の支援(生活費奨学金)を無利息で受けることが可能です。
授業料後払い制度の特徴
- 授業料支援金と生活費奨学金の2つの支援を無利息で受けられる
- 学校に原則として振り込まれ、卒業後に所得に応じて返還
3. 大学等の授業料無償化(高等教育の修学支援新制度)
経済的な理由で大学や専門学校への進学をあきらめることがないよう、2020年度から「高等教育の修学支援新制度」が始まりました。これは、前述の「給付型奨学金」と「授業料・入学金の減免」を組み合わせた強力な支援制度です。
(1) 支援の対象となる要件
支援を受けるためには、世帯の収入と資産の要件を満たす必要があります。住民税非課税世帯、およびそれに準ずる世帯の学生が対象です。
2025年度からの新制度
子どもを3人以上扶養する多子世帯に対して、所得制限なく大学等の授業料・入学金が無償化される制度が始まります(2025年4月に入学する者・2025年4月時点で前年度から在学中の者を含む)。
多子世帯の定義
扶養する子どもが3人以上いる世帯を指します。本制度における「扶養」とは、家族や親族から経済的な支援を受けることであり、自治体へ納税する際に扶養する人数としてカウントされている者をいいます。
例:子どもを3人以上同時に扶養している間に、大学等に在学している子どもは全員対象となる。なお、第1子が卒業等により扶養から外れ、扶養する子どもの数が2人となった場合は、本制度における「多子世帯」ではなくなるため、多子世帯としての支援は終了する。
(2) 資産に関する要件
2025年度からの制度では、「高等教育の修学支援新制度」において、申込み時点の学生等と生計維持者の資産の合計額について一定の要件を設けています。
| 支援の種類 | 資産要件(学生と生計維持者の合計) |
|---|---|
| 給付型奨学金 | 5,000万円未満 |
| 授業料等減免 | 5,000万円未満 |
| 授業料等減免(多子世帯で満額支援の場合) | 3億円未満 |
(3) 対象となる学校
国が定めた要件を満たす大学、短期大学、高等専門学校(4・5年生)、専門学校が対象です。大学院生は「高等教育の修学支援新制度」の対象とはなりませんが、扶養する子どもの数には含むことができます。また、海外大学等は授業料等減免の対象とならないが、海外留学については、海外留学制度に係る給付型奨学金の対象となります。
まとめ
教育資金支援制度のポイント
日本の教育資金支援制度は、ご家庭の状況に応じて様々な選択肢が用意されています。
- 国の教育ローンは幅広い資金ニーズに応え、保護者が借り入れる公的融資制度です。
- JASSOの奨学金は学生自身の学びを直接サポートし、貸与型と給付型があります。
- 授業料無償化制度は、経済的な負担を大きく軽減する画期的な仕組みで、2025年度から多子世帯への支援が拡充されます。
それぞれの制度には利用条件や手続きがありますので、公式サイトなどで最新の情報を確認し、ご家庭に合った最適なプランを検討することが重要です。この記事が、教育資金計画の一助となれば幸いです。

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